ヒトミサキ(作者：裏束様)
あらすじ:火事で家も両親も喪った主人公タクミは、親戚の縁を辿って、一見崎(ひとみさき)にある叔母の家にやってきた。
しかしその叔母が何者かに殺害されてしまう。
近くに落ちていたメッセージカードには「一年前の続きだ。まだ終わらせない」
この町では一年前、「犬飼一家殺人事件」と言う未解決の事件があったのだ。
叔母の殺害は、それと関係があるのか？そして一年前の事件の真相とは？
会話で情報を集め、被害者の行動を回想、事件の解決を目指す推理アドベンチャー。
主人公のタクミは元々地元民のようで、皆は出戻りしたタクミを親愛と憐憫を持って迎えてくれます。しかし度重なる事件に傷心、疲弊したタクミには、良い人達の気持ちが少し面倒で、同時に引け目を感じます。そのせいか幼馴染のナナミ、ヒロとも少しぎこちない感じに。
そんな時に起こったナナミの妹・マナの誘拐事件。犯人はこちらを監視しており、警察や他の人の手を借りず、タクミ一人で解決しなければ人質を殺すと言っています。
タクミは町を駆けて、ありとあらゆる目撃情報を拾い集め、被害者の行動を辿り、どうやって事件が起きたかを構築していくことに。
この目撃情報ですが一度しか聞けない事が多いので、読み飛ばしには注意です！なんてったってこれは『推理』アドベンチャー。後で推理する場面が出てきます。
情報を集めてからは『回想構築モード』で、集めた情報と統合性が取れるよう推理、被害者の行動を再現。その再現に従って実際に行動し、問題をクリアしていきます。回想構築中にヒントは出ません。記憶力が頼りです。順番や行き先を一度でも間違えるとゲームオーバーと中々にシビアですが、そのスリルもなかなか。
基本的にはこのように何か考える必要がある→聞き込み→回想構築で推理。物語を進行していきます。合間にぎくしゃくしていた幼馴染と会話してみたり、これからどう生活していくか悩んだり。
犬飼一家殺人事件、叔母殺人事件、そしてマナ誘拐事件。立て続けに起こる事件に関連性はあるのか、そして犯人は一体誰なのか。
プレイしていて犯人はこの人かな…となんとなく推理してみたら、なんと正解！自分はミステリー、犯人当てが下手な方なのですが、今作は情報の出し方が上手いなーと思いました。考えようとすればわかる塩梅。うーん上手い。それでも動機がいまいち思いつかず、作中で描写された時には、そういえばそんな感じの情報あった！と驚きつつも納得しました。ここもきちんと推理すれば動機もわかったんでしょうね。
このゲームは本当に純粋に推理物で、推理する上での理不尽な要素がないのが良い。BEST ENDへ踏み出した瞬間のゾクリとした感じ。なんて言ったら良いんだろう…この作品、推理物として完璧では？
今作はBEST ENDがトゥルーエンド。どれだけ幸せそうに見えても、ハッピーエンドじゃない辺りがこのゲームらしい。そしてエンディング回収の為に、トゥルーに届かなかったTHE ENDも見ました。あ、あれかっこいいいい…！個人的には演出もあって、こちらのエンディングの方が好きかもしれません。
推理初心者でもクリア可能な高品質ミステリー。是非プレイしてみてください！
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