幽霊と青年(作者:植物の灰様)
あらすじ:とある大雨の日、川に落ちた青年は次の瞬間、幽霊として見知らぬ部屋にいた。
そこは四隅が盛り塩で固められ、幽霊は外に出来る事も出来ず弱っていくばかり。
ポルターガイストで部屋の中や家主の青年に干渉している内に知り、蘇る記憶。
限られた時間の中で、幽霊は選択を迫られる。
物作りの挫折と、続いていく友情の物語。
幽霊が出ますが、ホラーゲームではありません。と言うか主人公が幽霊です。
見知らぬ部屋に閉じ込められた状況で、主人公はポルターガイストや憑依を使って盛り塩を破壊し、この(幽霊に限定された)密室からの脱出を試みます。しかしそれも一筋縄ではいきません。ポルターガイストでは動かせる物が限定され、憑依状態でも外には出られないからです。
悪戯してやろうとポルターガイストでテレビを消したりつけたりと色々やってみたりするのですが、家主の青年がにっっぶい!!驚きはするのですが、憑依して移動した後など明らかにおかしいだろうと言う状態でも少しも正気が揺らがないので、逆にこちらが驚かされました。
そうこうしている内に、主人公はとある人物に、物の記憶を読み取れる能力を授けられます。
ここからが本番です!
改めて部屋の中を探り、物の記憶を読み取っていきましょう。読み取れば読み取るだけ良い結果へ近づけます。
すると浮かび上がる、主人公と家主の青年の繋がり。そして青年が抱え込んでいる、遣る瀬無く苦い気持ち。それのどれもが共感出来て苦しかったです。
それぞれ方向性の違う両親との付き合いや、大事にしていた創作活動への誹り。そして歪んでいく理想。結構ストーリーは暗めですね。
プレゼントのくだりなんかは、それをしたら良くないだろうとは思いつつ、実際あの状況で好きな子におだてられたら舞い上がっちゃうよなああ…!と何度も頷きました…つ、つらい。
エンディングは二種ですがどちらかがバッドと言う雰囲気でもなく、一方は暖かく、一方はさっぱりしていて、個人的には意外とどちらも良いんじゃないかなと思いました。
でもエンド1みたいになれたら、それはとても素敵だな、と。この先を想像して、つい笑顔が浮かんでしまいます。
ストーリーを語りましたら忘れてはならないのがグラフィック。
正直短編ワンマップゲームでこれは凄いんじゃないか?と、ドキドキしています。
まずオープニングから雰囲気抜群、静かな美しさを感じます。
ドット特有の癖がこの世界観に物凄くハマっています。
キャラクター立ち絵もかわいいのですがそれだけではなく、どういう性格のキャラか、ちょっとした表情からもわからせてくれる力が強くて良いですね。
そしてここなんですが、挿絵がワンマップゲームにしては結構な量がありまして、それが演出も相まって使い方がとても効果的!けして派手ではないのにとても印象に残りました。
今作は本編をDLすると攻略が同梱されておりますので、内容も暗すぎると言うことはありませんし、ゲームが得意ではない方でもリラックスしてプレイ出来るのではないでしょうか。是非プレイしてみてください。幽霊になって悪戯するのも楽しいですよ!
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