人形と刃とGL(作者:ローナ商会/りまね様)
あらすじ:「従姉妹は四等身だから、結婚出来るよね?」
その日の夜、雨が降った。
とある事件を複数の視点から読み込むノベルゲーム。
本作は年は違えども同じ日に誕生日を迎える千里・千春姉妹。そんな彼女らを毎年祝ってくれる従姉妹の秀美。この三人の視点から、ひとつの事件について迫っていく物語です。
最初は妹の千春視点。ふと目が覚めた彼女が見たのは、実姉が倒れ血に濡れている姿でした。そしてその傍らに立つ血濡れたナイフを持った秀美の姿。
その凶刃は千春にも向かい――!
と、そうして物語は進んでいき、一旦の終わりを迎えます。
けれどあんな事が何故起こってしまったのか、千春視点では情報が圧倒的に足りません。
そこで千春ルートを読み切り新しく開放された新ルートで、情報を拾っていくことに。
新ルートでは秀美は勿論、倒れていた千里視点まで開放されます。
1ルート数分程度。これらをすべて読んでいくと、この事件の真相に辿り着けるのですが、その時皆様は何を思うでしょうか。視点変更のお陰でそれぞれのキャラに対して深く入り込めたのではないでしょうか。自分は彼女の狡さが嫌いではありません。
テキストは全体的に読みやすく、情景描写もしっかりしていた印象。途中で法律関係の描写が出てきますが、それもくどくなく、なるべく平易に書いてくださっているように感じました。
この法律関係の描写は、彼女の『本気』度合いがバシバシ伝わって来てとても良かったです。本気になりすぎたからああなってしまったんですが……。
イラストもとってもかわいい!が、そのギャップ故に狂気や呆然の表情が恐ろしくて堪りませんね。安寧の象徴たるパジャマに血が飛んでいる様子は、なんともグロテスクでした。
真相は、悲しい。
百合好き、かつミステリ好きさんには是非ともおすすめしたい作品です。
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