White Crownの実像(作者:カナタカユウ様)
あらすじ:『異世界』を調査している少女すばるは、仲間の少年リオ、常磐と共に遊園地まで、調査にやって来ていた。
鏡の国のアリスを取り扱うアトラクション鏡の館、その展示物『ホワイト・クラウン』。どうやらそれが原因で異世界を垣間見たと思われる証言が、噂として流れているからだ。
三人が調査の為、ホワイト・クラウンに近付いたその時――。
今作は前回ご紹介させて頂きました、カナタカユウ様のhôtel de noyerの招かれざる客人の続編となっております。レビューはこちらから↓yomoyamasaka.hatenablog.jp
続編となっておりますがストーリーはそれぞれ短編として完結していますので、今作のみでも十分に楽しめます。キャラクターのプロフィールや関係性が気になる方は、前作をプレイする、もしくは最初のチュートリアル(?)で教えて頂けるので、そちらを御覧ください。
今作は鏡の国のアリスがモチーフの謎解き有りの探索ゲーム。いっぱい動きます。
お恥ずかしい話、鏡の国のアリスはもとより不思議の国のアリスさえも、うさぎが遅刻でアリスがおっきくなって、とぼんやりした知識しかない状態からのプレイです。
鏡の国のアリスはチェスがキーのようで、なんやかんやで『異世界内で私(ホワイト・クラウン)をチェックメイトさせる』勝負をする事になった三人は、異世界へと誘われます。
そこは敷地の大部分に赤白のタイルが敷き詰められた、チェス盤の如き世界でした。
ここでは三人は駒のひとつ。前後左右好きに動けますが、それは盤の上でだけ。芝生の上も砂の上も歩けません。そこを数歩行った先に、目当てのホワイト・クラウンが居てもです。
しかしどんなものにも抜け穴はあるようで。三人は新品の赤白のパネルを足元に敷き、行動範囲を広げる事が出来るのです!
これがなかなか面白い。パネルの数には限りがあるので、早々ないとは思いますが、好奇心に任せてあっちこっち敷き詰めていては本気で詰みます。このさじ加減に、これはホワイト・クラウンとの対戦なのだと再確認しました。かわいくても甘くはないのです。
ホワイト・クラウンに辿り着くまでのルートは多彩で、一周目じゃちっとも関わらなかったキャラクターが、次の周からは重要になっていたり。もしあの時ああしていたら、と言うifが肉づいた瞬間の高揚たるや!
個人的には詠唱が大事だと思いますね、詠唱。わかるよ。
と言いますか、アリスってああいうキャラクターも出ているんですね!?驚きました。
道程、三人はホワイト・クラウンがどこにいるのか尋ねます。
しかし皆口を揃えて「知らない」。
賑やかなこの世界で、誰も知らないホワイト・クラウン。
そういう在り方を望むのは彼女自身。それは一体どれ程の孤独、どれほどの悲哀でしょう。
ラビリンスを進みながら、最初に見た暗いフェイスアイコンのホワイト・クラウンを思い出しました。
そして数多のノーマルエンドを迎えた後のトゥルーエンド。
予想はしていたのですが、初めて見た時、やっぱり少し泣いてしまいました。
この作者様は優しくて、胸に、じん、と来る描写がとても上手に描かれる方だなと再確認しました。
探索パートは簡単すぎず難しすぎずの良い塩梅、ストーリーもけしてゲーム部分のおまけにならない芯の強さがある、本当に素敵なゲームでした。
アリス好きの方なら、筆者の倍以上楽しめると思うので是非!
ちなみに何周もしましたが、迷子になりすぎて赤の王には一度しか会えませんでした……w
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